最寄駅は谷町四丁目駅なのだが、位置的には南西の方角に当たり、やや距離がある。目標は中大江公園だ。周辺には飲食店が、ちらほらとでき始めているが、公園に隣接したロケーションとも相まって「隠れ家」的な雰囲気がある。ただお店としてのアピールはしっかりとできていて、入り口付近はほぼ日本酒のラベルで覆われている。印象としては炭火焼きの店というよりは、完全に日本酒の店のイメージである。

　ほり江の店主は明るく穏やかな人柄で、サッカーで鍛えた筋肉質な体型は、アゴに伸ばしたヒゲとともに大いなるチャームポイントになっている。3年前までサラリーマンをしていたという。仙台で暮らした6年の間に、すっかり「仙台牛タン」と炭火焼きの虜になったそうである。もともと料理が好きだったこともあって、いつかは自分の店を持ちたいと考えていたらしい。

　ほり江は2015年4月に開店した。牛タンは仙台から仕入れている。熟成の質を考えると、仙台のものでないと納得できない。日本酒についてもこだわりがある。全国のお酒に関する知識の習得にも余念がない。もともと酒好きということもある。休みの日は新たな日本酒との出会いを求めて、3〜5店くらい飲み屋巡りをするんだとか。

　2017年4月、突然のように店内禁煙にした。本格的に「日本酒専門店」を目指そうと思ったとき、そうしたお店のほとんどが禁煙になっていた。酒の味を正しく判断できないのだ。常連客の中には喫煙者も多い。禁煙にすることで売り上げが落ちるのが怖かったが、思い切って禁煙を宣言した。来なくなった常連客もいた。反対に子ども連れの家族が増えた。女性客も増えつつある。売り上げは予想を超えて増えたのだった。

　禁煙にしたことで良かったことがある。窓ガラスが以前ほど汚れないのだ。炭火焼きの店なので煙は出るが、タバコの煙は特別のようだ。ゴミ出しの時の嫌な匂いも無くなった。思えば、禁煙にして不都合なことは何一つ無かった。